身近なとりNo.51~55

51.ゴイサギ(サギ科) 2009.7.16掲載

ゴイサギ

 身近な場所に生息していても、夜行性の鳥はなかなか姿を見られないことがあります。ゴイサギはそんな代表的な夜行性の鳥です。水田でよく見られるコサギと同じくらいの大きさで、成鳥は頭から背中にかけて青黒い色、体の下面は白く、翼は灰色をしています。ゴイサギの幼鳥は、褐色の羽にくっきりとした黄白色の斑がたくさんあり、ホシゴイと呼ばれています。手賀沼では1年を通して見られ、昼間はヨシ原や水辺周辺の雑木林などで休み、夕方から餌を探して飛び立ちます。夜間、グワァ、グワァと鳴き声が聞こえたら、それはゴイサギかもしれません。

 ゴイサギは繁殖期の春から夏になると、後頭部に白く長い飾り羽が出て、足の色が黄色から赤みがかった色になり、目の赤みがさらに強くなります。夏は子育ての時期なので、日中でも水辺で餌を探すゴイサギの姿が見られるかもしれません。皆さん、ぜひ観察してみてください。

(写真:鳥の博物館友の会会員 岡本 信夫さん)

52.バン(クイナ科) 2009.8.16掲載

バン

 バンは手賀沼では一年中生息している身近な鳥です。同じクイナ科にオオバンがいますが、バンはオオバンより少し小さめでほっそりしています。どちらも体色は黒っぽくて似ていますが、バンは尾の下とわきの白い斑が特徴です。脚と指は長く黄緑色で、脚の付け根は赤色、水かきは持っていませんが、水面を自由に泳ぐことができます。上くちばしから肉質の部分が伸び、額の部分をおおう額板があるのはバンとオオバンの特徴です。バンの額板は赤色でくちばしの先端は黄色です。この額板の色は夏に見るととても鮮やかな赤色をしていますが、冬になるとくすんだ色になります。水面を泳ぎながら、また水辺を歩きながら、水草の葉、茎、種子や水辺の昆虫、甲殻類、オタマジャクシなどを食べます。物音や人影に敏感で、オオバンのようには近くで見られませんが、他のクイナの仲間ほど警戒心が強くないため、沼の水面やヨシ原などで時々見ることができます。

(写真:鳥の博物館友の会会員 井上 正さん)

53.アジサシ(カモメ科) 2009.9.16掲載

アジサシ

 夏の手賀沼を代表する水鳥コアジサシの群れに、「こんな季節にユリカモメ?」と思うくらい大きな鳥が交じることがあります。アジサシです。

コアジサシと同じように、水面を飛びながら小魚を探し、ダイビングして捕らえます。アジサシは、ユーラシア北部・中部や北アメリカ東部で繁殖し、アフリカ南部・インド・東南アジア・オーストラリア・南アメリカで越冬します。日本には、主に旅鳥として全国の海岸・湖沼に姿を現します。

手賀沼では、5月から10月までの観察記録があり、頻繁に姿が見られるのは9月です。

世界中に分布しているアジサシですが、地域によって形態に違いがあることから、この種のアジサシ(Sterna hirundo)は、さらに4つの亜種グループに分けられています。日本で見られるのは、亜種アジサシ(Sterna hirundo longipennis)でシベリア東北部や中国東北部で繁殖する個体群ですが、しばしばシベリア中央部やバイカル湖周辺で繁殖する亜種アカアシアジサシ(S. h. minussensis)というやや背面の色が淡く、嘴(くちばし)と脚が鮮やかな赤色のものが訪れることがあります。アジサシを見つけたなら、嘴や脚が赤いものがいないか探してみてはいかがでしょうか?

(写真:鳥の博物館友の会会員 中野 久夫さん)

54.コガモ(カモ科) 2009.10.16掲載

コガモ

 10月になると手賀沼も冬鳥で賑わい始めます。その主役はカモたちでしょう。

手賀沼にやってくるカモの中でも一番小さいのがコガモです。コガモは、少数が北海道や本州の標高の高い所で繁殖しますが、多くはロシア極東地方で子育てをして日本にやって来ます。今の時期に見られるカモのほとんどは、雄も雌も同じ羽色で、この色の羽はエクリプス羽と呼ばれます。真冬にみられるよう

な着飾った雄の姿はありません。着飾った綺麗な羽毛に変わるのは秋も深まってからです。着飾ったコガモの雄は雌に気に人られようと盛んに尾羽を上げて頭を後ろに引く「反り縮み」などの求愛行動をします。選ぶ権利は雌にあることなどを思い浮かべながら遊歩道散歩するのも面白いですね。カモから鳥見をはじめるのもお勤めです。

 

(写真:鳥の博物館友の会会員 中根 忠さん)

55.キンクロハジロ (カモ科) 2009.11.16掲載

キンクロハジロ

 キンクロハジロは、我孫子市周辺では冬になるとやって来るカモです。江戸時代、翼に白い部分のあるカモを「羽は白鴨じろかも」と呼び、キンクロハジロは他のカモよりも沖にいることが多いため、特に「をきのはじろ」と呼ばれていました。体長は40~47㎝でカルガモより一回り小さく見えます。

オスは白と黒のツートンカラーで、オスメスともに目は黄色く、モヒカンのような頭が特徴的です。キンクロハジロは沼や湖、河川は水中にもぐって貝や草など動植物質の両方を食べます。

このように水中に潜るカモは潜水ガモと呼ばれ、水中に潜らないカモ(淡水ガモ)と区別して呼ばれています。区別して呼ばれるだけあって、それぞれ特徴があります。キンクロハジロのような潜水ガモは、体の後ろに足がついていて水中を泳ぐことには適していますが、陸上を歩くのは苦手で、水面から飛びたつときは助走をしないと飛べません。カルガモのような淡水ガモは真ん中に足がついていて陸上をよく歩き、水面を飛びたつときは助走がいりません。

冬の間に手賀沼にいるいろいろなカモの体の形やしぐさの違いを比べてみてはいかがですか?

 

(写真:鳥の博物館友の会会員 鳥越 治さん)