身近なとりNo.6~10

6.カイツブリ (カイツブリ科) 2005.9.16掲載

カイツブリ

かつて、我孫子市の鳥を公募したところ、オオバンに次いで応募件数の多かったのがカイツブリです。モグリ、ムグッチョ、モグリッチョー…、地元での呼び名もさまざまです。

 体の後方についたあし、指一本一本につく木の葉のような水かき、扁平(へんぺい)なあしの断面、すべて水中生活への適応です。「平泳ぎ」のあし使いで水中を自在に動き回り、小魚やエビ類を捕らえて食べます。

 「鳰(にお)の浮巣」で知られるように、水面に水草を積み重ねた浮き巣をつくります。この中に4個から6個の白色の卵を産み、20日から25日あたためます。巣を離れる時には水草で卵を覆い隠し、安全対策も万全です。ヒナは、約2カ月間親から餌をもらい一緒にくらします。この時期、ヒナを背中に乗せて泳ぐ親鳥の姿も見られます。

 春から夏にかけて、手賀沼のヨシ原のあちらこちらから響き渡る「キリキリキリキリ…」というカイツブリの声は、餌の小魚がたくさんいて、巣をつくることのできる安全なヨシ原が広がっている証です。我孫子にとってカイツブリは、「手賀沼」の自然の健全さを示すバロメーターの一つです。

(写真:鳥の博物館友の会会員 吉田 隆行さん)

7.モズ(モズ科) 2005.10.16掲載

モズ

 10月になると、手賀沼周辺や市内各地で「キイーキイーキチキチ」などと、大きな甲高い鳴き声が聞こえるようになります。モズの秋のなわばり確保、モズの高鳴きと呼ばれるものです。モズは、北海道から九州まで広く分布し、農耕地や都市公園など低木のある開けた環境を好みます。頭は大きく、尾は長めで、スズメより少し大きい小鳥です。オスは嘴から目をとおる黒く目立つ模様があり、嘴はかぎ状で翼に白い紋が目立ちます。メスは嘴から目をとおる模様は茶色<、腹部に波模様があります。木の枝などに止まり、かぎ型に曲がった鋭い嘴で昆虫やカエルなどの小動物を見つけ、舞い降りて捕らえて食べます。スズメや自分より大きな鳥も獲物にすることもあります。冬場への貯蔵なのか食べ残しなのか、獲物を小枝などに刺しておく習性があり、これをモズの速贄と言います。さまざまな鳥の鳴き真似をするところから、百の舌を持つ鳥(百舌鳥)の名が付いています。

(写真:鳥の博物館友の会会員 川上 貢さん)

8.ユリカモメ (カモメ科 ) 2005.11.16掲載

ユリカモメは小型のカモメで、赤いくちばしとあしが特徴です。カモメの仲間は一般に沿海を生活場所としていますが、ユリカモメは内陸の湖沼、河川にも入ります。

  手賀沼では10月から4月の間によく見られる冬鳥です。群れをつくり「ギッー、ギャー」としわがれた声でなき、水面に浮いて餌をとったり、上空からくちばしでつまみとったりします。雑食性で昆虫や無脊椎動物、死肉、果実などを食べます。餌付けによく集まり、オオバンやカモと餌を取り合う姿が見られます。在原業平の「伊勢物語」に記された「都鳥(みやこどり)」とはユリカモメのことだったいわれています。古くからユリカモメは身近な鳥だったことがうかがえます。

 (写真:鳥の博物館友の会会員 中西 榮子さん)

9.ジョウビタキ(ヒタキ科) 2005.12.16掲載

ジョウビタキ

 秋が深まる11月、シベリアや中国北部から冬鳥として渡来し、農耕地や河原、公園、庭など開けた場所の目立つところにとまる姿をよく見かけます。オスもメスも単独で餌 えさ

を捕るためのなわばりを持ち、木の実や虫を食べます。虫を捕まえる時は、止まり木から地上を見張り、虫を見つけると舞い降りて捕まえます。

翼の白斑(はくはん)が着物の紋付のように見えるので「もんつき」と呼ばれることもあります。ジョウビタキはオレンジ色のお腹に黒い顔、「ヒッヒッカタカタ」という独特な鳴き声なので見つけやすい鳥です。

 手賀沼遊歩道や近所の公園を散歩するときっと出会えるはず。出会えたら、そっと観察してみてはいかがでしょうか?

(写真:鳥の博物館友の会会員 川上 貢さん)

10.オナガガモ(カモ科 ) 2006.1.16掲載

オナガガモ

 冬の手賀沼には、たくさんのカモがやってきます。その中に、その名のとおり、長い尾が一際目立つオナガガモがいます。

 オスは(写真右)は首から胸が白く、頭がチョコレート色で、くちばしがうっすら青い色をしています。メス(写真左)は、オスに比べ全体的に褐色で地味な色をしています。またオス、メス共に尾だけでなく、首も他のカモより長いので、全体的にスマートな印象です。

 オナガガモは群れを作る性質が強い雑食性のカモです。多くは昼間湖沼で休息し、夜間に水田に飛び出し、落ち穂や草の種子、昆虫などを食べています。

 また餌付け場にもよく集まりますが、そこで群れになったオナガガモは一斉に水面に首を突っ込み、逆立ちしながら餌を探す姿は、長い尾がさらに目立ち、まるで水泳のシンクロをしているように見えます。

 手賀沼大橋のたもとにある漁協前では、たくさんこのカモを見ることができます。

(写真:鳥の博物館友の会会員 吉田 隆行さん)