身近なとりNo.101~106
101.コチョウゲンボウ(ハヤブサ科) 2013.11.16掲載
冬の農耕地に、こんな可愛らしい猛禽類がいることをご存知でしょうか? この鳥はコチョウゲンボウ。10月ごろに大陸から渡ってきて越冬する、日本で最も小さいハヤブサの仲間です。よく似たチョウゲンボウは、ホバリング(空中の1点にとどまる飛び方)して地上にいるネズミや昆虫を見つけて食べることが多いのに対して、コチョウゲンボウは電線などにじっと止まって小鳥を探し、ターゲットを定めると地上低くスピードを上げて飛んで行き、獲物をしとめます。運が良ければ、我孫子市内の水田でも彼らの見事な狩りを観察できるでしょう。
(写真:鳥の博物館学芸員 小田谷嘉弥)
102.ヒドリガモ(カモ科) 2013.12.16掲載
手賀沼自然ふれあい緑道にかかる「ヒドリ橋」をご存じでしょうか。その名前は、手賀沼に飛来するヒドリガモにちなんだもので、橋にはヒドリガモのレリーフがあります。
ヒドリガモは、手賀沼で見られる数は多くありませんが、毎年飛来するカモです。オスの頭の赤みがかった羽色から、昔は「緋ひどり鳥」や「あかがしら」と呼ばれていました。口笛を吹くようなピューウという声で鳴き、カルガモよりやや小さく、ほかのカモに比べて、短いくちばしをしています。主に植物の種や葉を食べ、手賀沼では浮いている水草をついばむ姿が見られます。
ヒドリ橋は大津川河口にあります。鳥を観察した後は、ヒドリガモのレリーフも見てみてはいかがでしょうか。
(写真:鳥の博物館友の会会員 古賀嗣朗さん)
103.アカゲラ(キツツキ科) 2014.1.16掲載
山地の林に多く生息していて、私たちの身近なところではあまり目にすることがないキツツキの仲間ですが、冬は平地まで下りてきます。我孫子でも冬の季節に観察記録があります。アカゲラは、足指と尾羽を使って、幹をたくみに登ります。体の大きさはムクドリくらいの大きさ、背面の色は黒で、白い斑があり、腹は淡褐色、腹から下は赤色をしています。オスには後頭部に赤色の部分があります。コゲラよりも少し大きな音で幹をたたく音を出します(ドラミング)。冬に緑地を歩いてみて、もしタララララララーと木をたたく音を聞いたら、アカゲラかもしれません。冬は私たちの身近なところにもさまざまな冬鳥がやってきています。バードウォッチングにはお薦めの季節です。
(写真:鳥の博物館友の会会員 神部充さん)
104.ベニマシコ(アトリ科) 2014.2.16掲載
ベニマシコ(紅猿子)は、名前どおりの赤い小鳥です。冬枯れのヨシ原を歩いていると、フィッフィあるいはピッポ―と柔らかな口笛のような声が聞こえてくることがあり、声がする方向を探すと見つけることができます。ただし、赤いのはオスだけ。メスは、地味なうす茶色です。
ベニマシコは、北海道や青森県の下北半島で繁殖し、手賀沼周辺には冬鳥として渡来します。
オスは、繁殖地では一層あざやかな赤い羽毛になります。羽毛が赤いのは、食物に含まれるカロチノイド色素によるもので、栄養状態のよい健康なオスほど赤みが強くなり魅力が増します。一方メスは、抱卵を担当するため、巣の上で過ごす時間が長く、地味な色は生き延びるために有利です。
赤いオスと茶色のメス。世代を継ぐために、雌雄で異なる色であるのは、それぞれ理由があるようです。
(写真:鳥の博物館友の会会員 中野久夫さん)
105.アカハラ(ツグミ科) 2014.3.16掲載
静かな冬の林で「カサカサッ、カサカサッ」と、落ち葉の音がどこからか聞こえてきます。よく目をこらすと、地面で落ち葉をひっくり返しているアカハラが見つかるかもしれません。アカハラは秋から春に我孫子の里山や公園で見られる渡り鳥です。渡ってきて間もない時期は、林の高い安全なところで餌をとっています。しかし、年が明けるころからは、餌となる木の実がだんだん減っていくため、地面でよく食事をするようになります。そのため、春先はアカハラに出会う絶好の時期です。落ち葉の音に耳を澄まして彼らを探してみましょう。
(写真:鳥の博物館友の会会員 中西榮子さん)
106.ハヤブサ(ハヤブサ科) 2014.4.16掲載
私たちの身の回りには、鳥の名前がついているものがたくさんあります。ハヤブサもそ
んな鳥のひとつでしょう。カラスよりやや小さく、我孫子でも毎年見られています。
新幹線、飛行機、小惑星探査機とさまざまなものにその名がつけられ、速さの代名詞とされるハヤブサですが、その速さがわかるのは、羽ばたいている時ではなく、羽を閉じて餌に向かって一直線に急降下する時です。
名前は知っていても、姿をみたことがない身近な鳥は多いかもしれません。ハヤブサは本当に速いのか。餌をとる姿を、その目で確かめてみてはいかかでしょう。
あびこ身近なとりは今回で終了となります。これまでご愛読いただき、ありがとうございました。
(写真:鳥の博物館友の会会員 野口隆也さん)