身近なとりNo.26~30
26.セグロセキレイ(セキレイ科) 2007.5.16掲載
一年中見られる身近な鳥の中でも世界的に見たら珍しい日本固有の鳥、それがセグロセキレイです。体長は21㎝、モノクロのツートンカラーに長い尾を上下に振って水辺だけではなく、市街地でも見ることができます。一見、ハクセキレイと見分けがつきませんが、顔をよく見ると全体的に黒色で、眼の上だけに白い線が入っているのがセグロセキレイです。主に昆虫食で地上を歩きながら採餌(さいじ)しますが、時には飛んで来る虫を
フライングキャッチする芸当も見せます。
奈良時代は「鶺鴒(つつ)」、室町時代は音読みで「鶺鴒(せきれい)」と呼ばれ、江戸時代になってからセキレイ類を区別して呼ぶようになり、「背黒鶺鴒(せぐろせきれい)」になりました。
鳴き声はハクセキレイの澄んだ「チチン、チチン」とは違い、濁った「ジジッ、ジジッ」と鳴きます。しかし今は春、電線や建物のてっぺんにとまって、セグロセキレイもきれいな澄んだ声でさえずり恋を探しています。
(写真:鳥の博物館友の会会員 大久保 陸夫さん)
27.ホトトギス(カッコウ科 ) 2007.6.16掲載
初夏のヨシ原や林で「キョキョキョキョキョ」という声を聞いたことはありませんか?声の正体は夏鳥のホトトギスです、「特許許可局」や「てっぺんかけたか」と聞こえると言われています。
去年、朝方にこの声を聞いたという来館者の方が多くいらっしゃいました。ホトトギスはヒヨドリくらいの大きさで、頭から胸と背中は青みがある灰色、腹部は白く、黒の横縞があります。飛ぶ姿は小さなタカのようです。
ホトトギス類は「托卵」といって自分で巣を作って子育てをせず、仮親となる他の鳥の巣に、自分の卵を産んで育ててもらいます。本州ではホトトギスは主にウグイスの巣に産卵します。卵の色もウグイスの卵と同じチョコレート色です。ホトトギスはウグイスがいない間に、たった10秒ほどで産卵します。しかし、そのためにウグイスが巣作りをする段階から、ずっと注意深く観察し、産卵する機会を狙っているのです。子育てをしない分の苦労はそこになるのかもしれません。
(写真:鳥の博物館友の会会員 中野 久夫さん)
28.コブハクチョウ(カモ科) 2007.7.16掲載
額(ひたい)にコブのような肉質の盛り上がりがあることから、コブハクチョウと呼ばれています。大きな声を出さないことから英名はMute Swan(無口な白鳥)。体重約12㎏、翼を広げると約2mにもなる手賀沼では最大の鳥です。
今ではすっかりおなじみの鳥ですが、初めて手賀沼にすみついたのは1987年8月。今から20年前のことです。それから3年目の1990年5月、手賀沼初のヒナが産まれました。その後年々数が増え、今年の6月現在、沼の中だけで6番(つがい)12羽の親鳥と20羽以上のヒナに加え、繁殖していない成鳥も数羽います。
コブハクチョウは、もともとヨーロッパ西部や中央アジア、モンゴル、シベリア南部などに分布する水鳥で、長距離の渡りはしません。今では観賞用として人間によって世界各地で放たれ、野生化し、分布が広がっています。手賀沼にすみついたコブハクチョウは、人と鳥との関わり合いのあり方について考えさせてくれる鳥でもあります。
(写真:鳥の博物館友の会会員 今村 詮さん)
29.アマサギ(サギ科) 2007.8.16掲載
盛夏の風に青々とした稲が揺れる水田の中に、頭や背や首がオレンジ色のサギを見たことがありませんか?このオレンジ色になるサギがアマサギです。アマサギは、全世界の熱帯地域や温帯地域に広く分布する全身の羽毛が白いいわゆる白鷺とよばれる鳥の一種。体長は50cmほどで、コサギよりも小さく、日本では主に夏鳥として本州・四国・九州で子育てをします。渡って来た初夏や飛去する秋には全身が白くなり、コサギなどの白いサギと見分けにくくなります。子育ては、他のサギ類に混じって集団(コロニー)でします。バッタなどの昆虫類やカエルなどの両生類を主な食べ物としているため、牛や水牛などの近くで驚いて飛び出すバッタやカエルなど捕食しています。このアマサギの英語名が牛サギと呼ばれるのも合点いきます。手賀沼周辺の水田では、これから渡り間近になると耕耘機やトラククーの後について餌を獲るほのぼのとした光景が見られます。
(写真:鳥の博物館友の会会員 諏訪 哲夫さん)
30.カワウ(ウ科) 2007.9.16掲載
手賀沼で見られる身近な鳥のカワウは、体長約90㎝の大型で黒い鳥です。
潜水能力が高く水中を上手に泳ぎ魚を捕まえ丸ま るの呑みにします。そして丸呑みの様子が語源になった言葉が「鵜う呑のみにする」です。その他にも鵜飼いの呑み込んでは吐き出す様子から「うがい」という言葉も出来ました鵜飼いは飛鳥時代には行われていた記録があります。江戸時代まで盛んだった鵜飼漁は幕末には衰退し、明治時代になると今度は観光のために復活しました。日本の鵜飼いはウミウの首に付けた縄を操りながらアユを捕りますが、中国の鵜飼いでは首に環を付けたカワウを放し、自由にコイやナマズを捕りにいかせます。
潜水の得意なカワウの羽毛は濡れやすく潜るとビショビショになるので、潜った後は杭
に留まって翼を広げて乾かします。手賀沼に行った際に水面に突き出た杭の上に目を向けて下さい。カワウが留まって翼を広げている姿が見られるかもしれません。
(写真:鳥の博物館友の会会員 安野 昌彦さん)