身近なとりNo.31~35

31.チョウゲンボウ(ハヤブサ科) 2007.10.16掲載

チョウゲンボウ

 秋、稲刈り後の水田や畑の杭の上に、ハトくらいの大きさのスマートなシルエットの猛禽類を見かけることがあります。チョウゲンボウです。

 チョウゲンボウは、ハヤブサの仲間で我孫子では1年を通して見られる留鳥です。日本全体でみると、北海道から中部地方で子育てをし、冬になると日本各地で見られる鳥です。巣は崖や樹洞、カラスの古巣などを利用しますが、最近では鉄橋やビルのような人工物にも営巣するようになりました。また、長野県の十三崖など集団営巣する場所もあり、ここは国の天然記念物に指定されています。

 主な餌はネズミやモグラ、その他に小鳥やトカゲ、バッタなどを食べます。開けた水田や畑で空中を旋回しながら餌を探し、見つけるとヘリコプターのようにホバリングをして狙いを定め、狩りをします。

 秋から冬の間、北新田や手賀沼沿いの水田でホバリングをするチョウゲンボウの姿をよく目にするので、皆さんもぜひ観察してみてください。 

(写真:鳥の博物館友の会会員 中野 久夫さん)

32.コジュケイ(キジ科) 2007.11.16掲載

コジュケイ

 「裏山で『チョットコイ』と鳴く鳥はなんだろうか?」

 鳥に関心のある方ならば、「それはコジュケイ!」とピンと来るほど身近な鳥です。

 しかし、この鳥の名前を日本鳥類目録の本文中に見つけることはできません。大正時代に狩猟鳥として中国から持ち込まれた外来種だからです。今では、本州、佐渡、四国、九州、伊豆諸島、硫黄列島で自然繁殖しています。

 手賀沼周辺では、竹藪(たけやぶ)や下草の多い斜面林に見られます。地上で草の種や芽、小動物を食べ、夜は樹上でねぐらをとります。5~6月、林内の草の中に巣を造り7~8個の卵を産みます。抱卵を始めて17~19日後、一斉に孵化(ふか)したヒナはメス親に連れられ、すぐに歩き出します。 

(写真:鳥の博物館友の会会員 川上 貢さん)

33.ウソ (アトリ科) 2007.12.16掲載

ウソ

冬になると手賀沼湖畔からウソの話題が聞かれるようになります。

ウソと言っても鳥のウソです。全長15cmほどの小鳥、黒のヘルメット姿、頬と喉は赤が目立ち、背や胸や腹は灰色、腰の自や翼の白い帯は飛ぶとき良く目立ちます。ユーラシア大陸に広く分布し、日本では、本州以北の針葉樹林で5月から8月にかけて子育てをします。(一夫一妻)冬には南下して手賀沼湖畔周辺部の林などで過ごします。美しく「ふっくら・おっとり」した感じの鳥ですが、群れでサクラ並木にやって来ては膨らみかけた花の蕾を食べる光景が見られます。鳴き声は、ヒーヒーホーとまるで口笛を吹いているようです。古くは、人が吹く口笛のことを「おそべ」とか「おそべこ」からウソと呼び、まるで口笛を吹くような鳴き声の鳥だからウソと名前がついたようです。手賀沼湖畔や岡発戸の谷津田周辺の森や手賀の丘の森に足を延ばして「うそを吹く」ウソを楽しんではどうでしょう。

(写真:鳥の博物館友の会会員 岡本 信夫さん)

34.セグロカモメ(カモメ科) 2008.1.16掲載

セグロカモメ

 木枯らしが吹き出す晩秋、ユーラシア大陸から冷たい風とともに日本にやって来る冬鳥です。

 セグロカモメは黄色く太い嘴(くちばし)を持ち、濃い灰色の翼を広げると140㎝前後にもなる大型のカモメです。完全に成鳥の羽色になるには産まれてから3年もかかります。

 セグロカモメは江戸時代には「おほかもめ」と呼ばれ、他の大型カモメのオオセグロカモメやワシカモメと同じ名前で呼ばれていました。

 カモメには海の鳥のイメージがありますが、手賀沼では1990年頃から少数観察されるようになりました。年々飛来数が増加し現在、多い時では50羽前後が観察されるようになりました。手賀大橋の街灯や手賀沼の杭くいでユリカモメに混ざりとまっている姿が

見られます。

 セグロカモメはユリカモメよりも一回り大きく見えます。少し強面ですが、手賀沼散策の楽しみの一つにしてみてはいかがですか。

(写真:鳥の博物館友の会会員川上 貢さん)

35.アオジ(ホオジロ科) 2008.2.16掲載

アオジ

 秋から冬にかけて、手賀沼周辺のヨシ原や斜面林の薄暗い薮の中から「チッ」や「ジッ」と一声ずつ短く強い鳴き声が聞こえたら、それはアオジの声かもしれません。

 我孫子では秋から冬にみられる冬鳥で、人家の庭や公園にも現れます。大きさはスズメ大、全体に黄色味を帯びた緑色で、胸や脇には黒い縦縞があります。特にオスはメスよりも目元や喉の黒みが強いのが特徴です。また、メスはオスに比べて淡い色をしています。

 冬のヨシ原にはアオジ以外にもホオジロやオオジュリンなど、たくさんの鳥が餌を求めて集まっています。その中でもアオジは警戒心が強いことと、ヨシの根元や地面で餌を探すことが多いため、その姿をなかなか見ることができません。「チッ」と声がした場所を注意深く探してみると、チラチラと動いている姿を見つけられます。みなさんもぜひ声がしたら探してみてください。

(写真:鳥の博物館友の会会員 井上 正さん)