身近なとりNo.46~50
46.タヒバリ (セキレイ科) 2009.2.16掲載
タヒバリは、秋の終わりとともに日本にやってくる冬鳥です。スズメくらいの大きさで全体的に茶褐色の地味な色をしています。名前からはヒバリの仲間(ヒバリ科)と思われがちですが、尾羽が長く上下に振る習性からセキレイの仲間(セキレイ科)であることがわかります。
夏は主に昆虫を食べますが、冬の間は地上に落ちている種子も食べます。タヒバリは江戸時代前期から「たひばり」あるいは「いぬひばり」と呼ばれてきました。それぞれ「田に住むヒバリ」、「ヒバリに似た小鳥」に由来した呼び名です。
タヒバリは、後趾こうしの爪が長く、足にかかる体重を分散させることができるため、ぬかるんだ泥地を上手に歩くことができます。
(写真:鳥の博物館友の会会員 岡本 信夫さん)
47.イソシギ(シギ科) 2009.3.16掲載
イソシギは手賀沼で1年を通して見られるチドリの仲間(チドリ目シギ科)です。ムクドリよりもやや小さめで、顔に白い眉があり、顔から背中と翼の上面は灰褐色で、胸から腹にかけては白色をしています。止まっていると胸の白い部分が翼の付け根にくい込んで見えるのが特徴です。飛んでいる時は、翼の上面と下面の白い帯がはっきりと目立ちます。
イソシギは江戸時代後期には澄んだピィーピィーという鳴き声から「ぴいぴいしぎ」や「ぴいにすちどり」と呼ばれていたそうです。イソシギという名前ですが、磯辺だけでなく、河川や湖沼などの水辺に主に生息し、水田や畑でも尾を上下に振りながら餌を探し回る姿がみられます。主な餌は水生昆虫で、長く真っすぐな嘴を箸のように使って、石の下や泥の中にいる幼虫などを捕まえます。
手賀沼周辺では草が生い茂った場所よりも開けた砂地のような場所でみられますので、みなさんもぜひ観察してみてください。
(写真:鳥の博物館友の会会員 吉田 隆之さん)
48.キレンジャク(レンジャク科 ) 2009.4.16掲載
冬鳥として日本に渡来しますが、我孫子でこの鳥に出会えるのは2~4月です。しかし毎年決まって出会えるとは限りません。英語名は、ボヘミアン・ワックスウイング(Bohemian Waxwing)。放浪生活をするジプシーのように、キレンジャクの季節移動は秋期の果実の豊凶に左右され、ボヘミアン的なのです。ワックスウイングとは、翼の体に近い部分の羽毛(次列風切)先端の赤いロウのしずく状の構造に由来します。
また、キレンジャク(黄連雀)という和名は、尾羽の先端部が黄色いことと、江戸時代、旅人が荷を背負うため使った背負子(しょいこ)=連尺(れんじゃく)に由来すると言われています。この説は、気まぐれな移動とイメージがよく重なります。
(写真:鳥の博物館友の会会員 吉田 隆行さん)
49.アリスイ(キツツキ科) 2009.5.16掲載
この鳥の名前の由来は、キツツキの仲間なのですが、木をつついて採食をするスタイルではなく、地上や枯木の中にいるアリをついばんだり吸い取ったりと、アリを主な食物としていることから付いた名前のようです。自分で木をつついて巣穴を掘ったりもしませんし、木に止まるシルエットはキツツキ特有の垂直止まりではなく、むしろ普通の小鳥のように止まります。キツツキの仲間なので、足指は前に2本、後ろに2本とキツツキとしての特徴はちゃんと備えています。日本に生息するアカゲラ、コゲラやアオゲラなどのキツツキ類の多くが留鳥であるのに対して、アリスイは渡りをするキツツキです。関束地方では、冬鳥あるいは旅鳥として婆を現します。我孫子での記録の多くは、この移動の時期、3月に集中します。北海道や本州北部で繁殖し、樹洞や地面に空いた穴に6~10個の卵を産みます。その後の急ぐ旅の渡りの途中、手賀沼遊歩道沿いでつかの間の休憩する姿を観察することができます。
※写真は、長い舌を出すアリスイ
(写真:鳥の博物館友の会会員 松田 幸保さん)
50.キセキレイ(セキレイ科 ) 2009.6.16掲載
キセキレイは我孫子市周辺では主に冬、水辺や市街地の小さな水路などで姿を観察できます。体長は20cm、背中は灰色でお腹の黄色がよく目立ちます。体重はハクセキレイの半分ぐらいしかなく、スマートな体で長い尾を上下に振りながら地上で餌を採る姿や、飛んでくる虫をフライングキャッチする姿はとても軽やかに見えます。「キセキレイが軒下などに巣を造った家は子宝に恵まれる」と言い伝えがあるように、オスもメスも積極的に求愛ダンスを踊ります。そして、ヒナを育てるときは、親鳥がヒナのフンを近くの水辺や水たまりに捨てる面白い習性があります。子育ての様子を観察できるのは、我孫子や手賀沼周辺ではなく低山帯の水辺です。近場では筑波山などがおすすめ観察ポイントです。
初夏の山をハイキングすれば、キセキレイが「チチン、チチン」と鳴きながら前を飛び、まるで道先案内をしてくれるような気分が味わえるでしょう
(写真:鳥の博物館友の会会員 川上 貢さん)