身近なとりNo.56~60

56.オカヨシガモ(カモ科) 2009.12.16掲載

オカヨシガモ

12月は手賀沼で見ることができるカモの仲間が一通り出そろう頃です。その中で雌雄共に地味な羽色で、あまり目立たないのがオカヨシガモです。日本では北海道の一部で、夏の間繁殖する個体もいますが、多くは冬鳥として飛来します。

 オカヨシガモは、人が集まる場所にあまり近寄らず、小さな群れでヨシで隠れた場所や沼の中央部にいることが多いので、羽色と相まってますます目立たない存在です。手賀沼での分布はかなり局所的で、大津川河口あたりでよく見られます。オカヨシガモが見られるのは、手賀沼の中でもヨシがよく生い茂り、餌となる植物が多く残っている場所と考えられます。水面で逆立ちして泥の中の餌を探すことが多く、尾羽だけが水面に出ている姿がよく見られます。

 オカヨシガモの名の由来はヨシガモよりも「オカ」に近い、つまりより内陸の湖沼に生息するカモだからだと言われています。手賀沼のオカヨシガモを見ていると、陸で休んでいる印象がないので、名前の由来を知らないと不思議に思えてしまいます。

 オカヨシガモの特徴は、雌雄共に翼の翼鏡と呼ばれる部分が白いことです。飛んでいる時にも目立つので、みなさんもぜひ探してみてはいかかでしょうか。

(写真:鳥の博物館友の会会員 西巻 実さん)

57.カケス(カラス科) 2010.1.16掲載

カケス

 カケスは、このあたりでは冬によく見られる鳥です。比較的警戒心が強く、少し暗い林で見られます。ジェーイジェーイと特徴のあるしわがれた声で鳴くので、声をたよりに探すと見つけられるかもしれません。頭には白地に黒の斑があり、目先・尾は黒、体は淡褐色、翼の一部にコバルトブルーの美しい模様があります。雑食性で昆虫や小型の脊椎動物、果実、種子などを食べます。特にシイ、カシ、ナラなどのドングリを好み、破壊力のあるくちばしでこじ開けて中身を出します。また、ドングリを貯食する性質があり、土の中に埋め、必要な時に掘り出して食べます。食べ残しや忘れられたものから発芽し、新しい木が生えたりしますので、カケスとドングリの木の分布には密接な関係があると言われています。市内の公園でカケスの羽がたくさん落ちていたことがありました。コバルトブルーの美しい模様があったので、すぐにカケスとわかりました。鳥の観察といえば上ばかり見ますが、たまには下を見て歩くと新しい発見があるかもしれません。

(写真:鳥の博物館友の会会員 大久保 陸夫さん)

58.カンムリカイツブリ(カイツブリ科) 2010.2.16掲載

カンムリカイツブリ

 カンムリカイツブリは、全20種類あまりのカイツブリ類のなかでも大型の種です。ユーラシア大陸の中緯度地方に広く生息しているほか、アフリカ大陸、オーストラリア大陸や、ニュージーランドにも局所的に分布しています。水上で行われる求愛ディスプレイは、雌雄とも冠羽(かんう)を立て、頬ほほの飾り羽を襟(えり)のように広げ、頭を上下させたり、左右に振ったりにぎやかなものです。水草をくわえた決めの踊りは、Weed-dance(水草ダンス)と呼ばれています。

残念ながら、日本でこの求愛ディスプレイを見ることができるのは、青森県の小川原湖や滋賀県の琵琶湖などごく一部の繁殖地だけです。全国的には、冬鳥として各地の湖沼や海岸に渡来します。

手賀沼では、11月から4月まで見られます。10年前まで沼水面に数羽見られる程度でしたが、徐々に増え、数年前から全域で50羽以上数えることができるようになりました。潜水が得意で、30秒以上潜って小魚を捕らえて食べる様子が観察できます。この習性がわざわいして、水中に設置された漁網や捨てられた釣り針にかかっての落鳥情報がしばしば寄せられるのは、残念なことです。

(写真:鳥の博物館友の会会員 川上 貢さん)

59.ルリビタキ(ヒタキ科) 2010.3.16掲載

ルリビタキ

 ルリビタキの雄は、頭から尾まで鮮やかな青色が特徴で、脇の羽毛はオレンジ色、目の上には白い眉斑が日立ちます。雌や若い雄は、頭から背中や尾までがオリーブ褐色、腰にキラリと青色に輝く羽毛、脇はオレンジ色とやや地味な色合いです。全国に生息していますが、本州では夏に亜高山から高山帯の森林で子育てをし、冬は暖かな平地や低地の、低木や藪のある、やや開けた公園などで越冬します。晩秋の我孫子市周辺では、手賀沼を見下ろす場所にある樹木や薮で「カッ、カッ、カッ、カッ」とちょっとハスキーな鳴き声(地鳴き)が聞こえることがあります。この鳴き声のする辺りを見渡すと、ルリピタキに出会えます。その日に見つからなくても同じ場所によく来ますので、きっと出会えるはずです。夏の高原で、「ピュロロ ピュロリロ チュロリ」とよく響く、どこからともなく聞こえてくる鳴き声の主も、この鳥です。幸福を呼ぷ「青い鳥」ではありませんが、出会えて嬉しくなる鳥。バードウォッチャーや野鳥写真愛好家の間で一押しの「青いカワセミ」と、人気で1、2を競う鳥でもあります。 

(写真:鳥の博物館友の会会員 岡本 信夫さん)

60.ヒバリ(ヒバリ科) 2010.4.16掲載

ヒバリ

 ヒバリは高らかな声で早春からさえずり始め、我孫市周辺では一年を通して観察できます。草地の上空で停空飛翔(ホバリング)するので、声は聞こえても姿が見えないこともあります。スズメより少し大きな体に目立つ冠羽、後趾こうしの爪が長いのが特徴です。

地上に巣を作るため、親は卵やヒナを守るときに自分が怪我けがしたふりをする擬傷(ぎしょう)という行動をとります。体のお手入れは砂浴び、地上を相互歩行しながら餌えさになる草の実や昆虫をついばみます。ヒバリは奈良時代から「ひばり」と呼ばれ、語源に関しては、「日晴晴たる時、高くのぼりなく」と記述されています。奈良時代の万葉集では天に昇るイメージで、また鎌倉時代には上がるだけでなく、落ちるイメージでも詠まれました。室町時代には「ひめひなどり」という異名が現れ、詠まれ始めました。

いつの時代でもヒバリは上昇や下降をしながらさえずる姿が印象に残ったようです。

ヒバリが天高くさえずる季節です。空を見上げて姿を探してみませんか?

 

(写真:鳥の博物館友の会会員中西 榮子さん)