身近なとりNo.61~65
61.フクロウ(フクロウ科) 2010.5.16掲載
フクロウは映画やアニメなどによく登場したり、民芸品のモチーフにされたり私たちにとって身近な存在です。しかし、フクロウは主に日没から日の出にかけて活動する鳥なので、野外でフクロウを見る機会は少ないかもしれません。フクロウは大きさが50cmほどで、山地から平野の森林で生活します。3~5月に繁殖し、ネズミや鳥を食べます。以前、我孫子市内で繁殖後のフクロウの巣箱を調べたところ、ネズミや鳥以外にカエルやモグラの骨も見つかりました。本来フクロウは自然の洞などに営巣しますが、近年、営巣できる大きな洞が少なくなり、巣箱での繁殖例も増えています。鳥の博物館のホームページから我孫子のフクロウの繁殖の様子をご覧いただけます。手賀沼周辺や斜面林で、夜に音もなく飛ぶ大きめの鳥のシルエットを見たり、森の中から「ホ−ホ−」、「ホッホ、ゴロスケホッホ」という鳴き声を聞いたら、おそらくそれはフクロウかもしれません。
(写真:鳥の博物館友の会会員 吉田 隆行さん)
62.ヤマガラ(シジュウカラ科) 2010.6.16掲載
日本、朝鮮半島、台湾にだけ限定されて分布する小鳥です。いろいろな樹木の林や森にすみますが、特にシイやカシの常緑広葉樹林を好みます。我孫子市でも、木がたくさんある公園などで見られます。鼻にかかったような鳴き声でニィーニィーニィーとか、ビィービィービィーと鳴きます。昆虫も食べますが、特に樹木の種子を好みます。ドングリやエゴの実の種子などかなり堅い実を、木の枝の上で足指で押さえ、くちばしでたたき割って上手に食べます。また、木の実を樹皮の割れ目などにに貯蔵する習性もあります。ヤマガラの性格や習性を利用して、昔、神社のお祭りなどで行われた「ヤマガラのおみくじ引き」という見せ物芸もありました。
ヤマガラの子育ては、4~7月頃、樹洞やキツツキの古巣、巣箱などを利用しておこないます。市内の公園でも、さえずりを聞いたり、巣立ちビナをつれている姿を見かけています。我孫子では、シジュウカラほど、身近ではありませんが、少し繁った林などで見られます。冬にはシジュウカラ、エナガ、メジロ、コゲラなどと混群を作ったりもします。
(写真:鳥の博物館友の会会員 諏訪 哲夫さん)
63.アオサギ(サギ科) 2010.7.16掲載
翼を広げると1・6m、国内最大のサギの仲間です。頸(くび)を折り曲げ、長い脚を尾羽の先まで伸ばして飛ぶ姿は迫力満点。
アオサギ(青鷺)の名は、背面全体が青灰色(せいかいしょく)であることに由来します。頭頂から後方に伸びる長い飾羽が特徴的です。
アフリカを含むユーラシアに広く分布し、日本では、全国の水辺に近い樹林の樹上に集団で営巣します。
ネズミやカエルなどの小動物も食べますが、主食は魚です。浅瀬を歩き、時には待ち伏せして、S字に縮めた長い首を繰り出し、尖った嘴くちばしで獲物を突き刺します。杭の上から獲物めがけて水中に飛び込むこともあります。
(写真:鳥の博物館友の会会員 松田 幸保さん)
64.ショウドウツバメ(ツバメ科) 2010.8.16掲載
8月も中旬を過ぎると、そよ風とともに北海道などで子育てを終えたショウドウツバメが観察できる時期を迎えます。ツバメに混じって羽の色がツバメより茶色っぽく淡く見えるのがショウドウツバメです。利根川の土手を上流から下流へ向かって、ふわふわと飛んでくるので観察しやすい鳥です。ショウドウツバメは、北半球の温帯以北で繁殖し、冬は東南アジアなどに渡って越冬する鳥です。春と秋に本州、四国、九州などで多く観察されますが、我孫子では春の渡りに出会える機会はあまり多くありません。秋には数多く現れるので比較的楽に観察することができます。集団繁殖し、繁殖期は6~8月、年2回子育てをし、一夫一妻です。巣穴は、直径5~9cm・探さ約1mを雌雄で協力し合い1~2週問で完成させます。砂壁に無数の穴をあけ、獣毛や羽毛、枯れ草などで椀形の巣をつくります。卵を3~5個産み、子育てをします。まだまだ暑い夏が続きますが、夕方近くに涼を求めて利根川の土手で渡り行くショウドウツバメを見てほしいと思います。
(写真:鳥の博物館友の会会員 中根 忠さん、円内は…鳥越 治さん
65.ツツドリ(カッコウ科) 2010.9.16掲載
我孫子市周辺でのツツドリは、春と秋の渡りの季節に毛虫を食べている姿などが観察されています。体の大きさはキジバトぐらい、色や姿形はカッコウと似ています。
ツツドリは平安時代から「つつどり」と呼ばれ、「竹筒を打つがごとし」、筒を打つように鳴くので筒鳥と言われていました。鳴き声を「ポンポン」と聞きなしているのが、名前の由来の有力な説だとも言われています。
ツツドリのほか、カッコウの仲間も毛虫を好んで食べますが、毛虫の毛は胃の中でどうなってしまうのでしょうか? 胃の中に入った毛虫の毛は胃の壁をおおうように並び、時には獣の「柔毛」状になっています。とても痛そうですが、カッコウの仲間の胃はよく発達していて、厚めになっています。
さらに、胃から分泌する酵素によって有毒な物を中和し、不消化物を小さな塊にして吐き出しています。
毛虫を食べるために体が適応しているのですね。
ちょうど毛虫が発生するころにやって来て、他の鳥に邪魔されずにゆっくり食事を楽しみます。この時期、毛虫が発生している木を見つけたらツツドリを観察するチャンスかもしれませんね。
(写真:鳥の博物館友の会会員 西巻 実さん)