身近なとりNo.66~70

66.ツグミ(ツグミ科) 2010.10.16掲載

ツグミ

ツグミは公園や住宅地によく現れる見つけやすい冬鳥です。主な越冬地であるシベリアから大きな群れで日本に渡ってきます。渡ってきた頃は群れで行動し、寒さが増してくると餌を求めて、それぞれ平地に降ります。主に地面の小さな昆虫や木の実を食べるので、平地では公園の芝生や住宅の庭木がちょうどいい餌場になります。

 「キイキイ」や「キュルキュル」と鳴き、大きさはムクドリよりやや大きいくらいです。眉と喉は白色、胸の黒い斑と翼の栗茶色がよく目立ちます。歩いているとピタッと立ち止まり、ピンと胸を張って辺りの様子を伺う姿が特徴的で、まるで「だるまさんが転んだ」で遊んでいるように見えます。丸々とした姿で、現在はもちろん禁止されていますが、かつて食料が少なかった頃は、貴重なタンパク源として食用にもされていました。

 10月も終りになると、そろそろツグミが姿を見せ始めます。ツバメの初観察はよく話題になりますが、今年はツグミの初観察はいつになるのか、ぜひ散歩をしながら調べてみてはいかがでしょうか。

(写真:鳥の博物館友の会会員 岡本 信夫さん)

67.トビ(タカ科) 2010.11.16掲載

トビ

 トビは「トンビ」ともいわれ、留鳥で身近な鳥として親しまれています。海岸や河口付近に多い猛禽類の仲間で、大きな翼を広げ上昇気流に乗りながら「ピーヒョロロー」と高らかになく姿を一度は目にした事があるのではないでしょうか。体の色は全体的に黒褐色で、翼を広げると約160cmにもなります。我孫子ではあまり見られなかったトビですが、ここ数年、手賀沼や岡発戸の谷津田などでもよく見かけるようになりました。日本では全国各地で見られ、猛禽類の中では最も数の多い鳥です。世界でもユーラシア大陸、アフリカ、オーストラリアなど広い範囲に分布しています。主に死肉を食べますが、ネズミ、ヘビ、カエル、鳥などの生きている小動物も捕食します。都市のゴミ捨て場や漁港には大群でいる事もあります。繁殖期は2~9月、年1回繁殖します。平地から低山の大木の枝上に、枯れ枝を積み重ねて皿型の巣を作ります。巣作りは雌雄共同で行い、1巣卵数は2~3個、2日おきに1卵ずつ産卵し、約30日抱卵します。雌雄共同でヒナに給餌し、40~50日後には巣立ちます。

(写真:鳥の博物館友の会会員 青野 宏さん)

68.タゲリ(チドリ科) 2011.2.16掲載

タゲリ

 寒波到来とともに手賀沼の水面がカモ類でにぎわいます。ひとまず水面を背にして田んぼを歩いてみましょう。ビュルッとヒバリが鳴き、タヒバリがピピッと鳴いて足もとから次々に飛び出すはず。突然、ミューと鳴き、田んぼの中からいくつも飛び出すハト大の鳥にハッとすることがあります。タゲリの群れとの遭遇です。

飛び出すとき、翼の白黒のコントラストが目立ちます。光線の具合によっては紫色に輝く緑色の背面、白い腹面、胸の黒い帯、後頭部からピンと立ち上がる冠羽(かんう)、一度見たら忘れられぬ美しい姿です。と同時に、この配色が冬の田んぼではカモフラージュになり、風景に溶け込みます。

タゲリは、ユーラシア大陸の中緯度地域に広く分布し、冬は南部に移動する渡り鳥です。日本では、本州、四国、九州の各地に冬鳥として渡来します(北陸地方や関東地方の一部では繁殖記録もあります)。

泥中のミミズや昆虫の幼虫を餌とするため、比較的湿った田んぼに多く見られます。そこで、タゲリを生物多様性の高い田んぼの象徴と考え、この鳥の渡来する田んぼで収穫したお米をタゲリ米と名づけ、環境保全型の農業を指向している人たちもいます。

 (写真:鳥の博物館友の会会員 尾崎 光代さん)

69.ヒレンジャク(レンジャク科) 2011.3.16掲載

ヒレンジャク

 日本各地の山野に初冬から渡来し始めますが、渡来数は果実の豊凶に左右され、年によって大きく変化します。樹上でネズミモチ、イボタノキ、ニシキギ、ヤドリギなどの実を食べながら常に群で行動します。我孫子でこの鳥に出会えるのは2~4月ごろです。しかし必ずしも出会える鳥ではありません。ヒレンジャクは、極東の特産種で、次列風切羽の先端に赤いろう質の物質を付ける特徴があることから、英語名をJapanese Waxwing(ジャバニーズ・ワックスウイング)といいます。同じ仲間に、尾の先が黄色いキレンジャク(広報あびこ2009年4月16日号・身近な鳥48)がいます。ヒレンジャクは尾の先が赤く、烏帽子のように長い冠羽があり、黒い過眼線(眼を中心に、前後方向に人る帯状の模様)は冠羽の先端まであるのが特徴です。レンジャクの名前の由来は諸説ありますが、連雀の漢字から連想するのは、連(群)になって飛び回るさまを表した名前のようです。春は芽吹いた樹木などに、キレンジャクの群と混ざっていたりします。チリチリチリと鈴のような鳴き声が聞こえたら周りの木々を見てみましょう。木の芽を食べながら飛び回るヒレンジャクに出会えるかも知れません。

(写真:鳥の博物館友の会会員 大久保 陸夫さん)

70.セッカ(ウグイス科) 2011.4.16掲載

セッカ

 セッカはスズメより小さいウグイスの仲間で、河原の草原や水田で見られます。地味な羽色ですが、尾羽下面の黒い横縞がよく目立ちます。主にクモや昆虫を食べ、巣材にもクモの糸をよく利用します。茎の間を忙しく移動し餌を探し、時々両脚を大きく開いて止まったりする姿がおもしろいです。

 繁殖期の春になると、オスは「ヒッヒッヒッ」と鳴きながら舞い上がり、「チャチャチャ」と鳴きながら舞い降りて縄張りを主張します。冬は草原に潜んで目立たない鳥なので、オスの縄張り防衛戦が繰り広げられる春から夏に、ぜひ観察してみてください。 

(写真:鳥の博物館友の会会員 岡本 信夫さん)