身近なとりNo.76~80
76.チュウサギ(サギ科) 2011.10.16掲載
サギの仲間のこの鳥は、体のサイズがダイサギとコサギの中間であることから、チュウサギと名付けられました。わかりやすいネーミングにもかかわらず、3種を野外で見分けるのは意外に大変です。しかし、大きさのほか、足指の色や飾り羽の形、季節によって変化する嘴や目先の色、口角の深さなど、細かな特徴で見分けることができます。
3種のサギの中でチュウサギだけが夏鳥で、冬に我孫子市周辺で見かけることはありません。また、沼や河川の浅瀬より、好んで田んぼで餌を捕ることも他の2種とのちがいです。
稲刈りを終えた田んぼでイナゴを食べるチュウサギの群れは、秋の風物詩です。
(写真:鳥の博物館友の会会員 井上 正さん)
77.チュウヒ(タカ科) 2011.11.16掲載
秋風が冷たくなるころ、田んぼの上を低空でゆっくりと羽ばたき、翼をVの字にして飛んでいるタカを見たことがありませんか?
この鳥は、翼をV字型に保ち、ゆっくりと滑翔を繰り返しながらネズミや小鳥などの獲物を探す、タカの仲間チュウヒです。日本では北海道と本州中部以北で繁殖しますが、多くは冬
鳥として本州以南にやって来ます。
我孫子では、利根川沿いの北新田や手賀川周辺のヨシ原や農耕地でひと冬を過ごします。体色は、胸は灰白色で茶褐色の縦じゅうはん斑がある場合と、ほとんど無い場合がある色彩に変化が多い
のもこの鳥の特徴。また頭部や肩羽などが黒い大陸型や同じ仲間のハイイロチュウヒなど識別に一喜一憂するのも鳥見の楽しみです。
(写真:鳥の博物館友の会会員 中根 忠さん)
78.シメ(アトリ科) 2011.12.16掲載
シメは我孫子に冬鳥として飛来します。スズメよりもかなり大きく、体長は、お よ そ18cmで頭が大きく尾が短いので、ずんぐりして見えます。主に植物の種を食べ、公園や林などで。群れで餌を探す姿が時々観察されます、シメの最大の特徴はその太いくちばしで大きな堅い種でも割ることができます。骨格標本をみると、頭骨は発達したあごの厚い筋肉をしっかり支えられるように丈夫なつくりをしています。一見、パワー重視のようですが、小さな種の皮を器用にむくことも。でき、万能なペンチのようなくちばしです。
(写真:鳥の博物館友の会会員 川上 貢さん)
79.マガモ(カモ科) 2012.1.16掲載
オスは頭がメタリックな緑色で白い首輪をしているように見えます。繁殖期はユーラシア大陸、北アメリカ大陸に広く分布し、冬は両大陸の北部、東南アジアなどに渡って過ごします。日本では大部分が冬鳥として越冬しています。手賀沼でも冬になると見られるカモのひとつです。
主に植物食で、水面に浮いてくちばしをを水平に水につけてグチャグチャと動かして採食する姿が見られます。また越冬地の湖沼では、1、2羽のメスの周りを複数羽のオスが泳ぎ回り、求愛ディスプレイが見られます。カモの仲間は雑種ができやすく、手賀沼ではマガモとアヒルの雑種が見られることがあります。
(写真:鳥の博物館友の会会員 吉田 隆行さん)
80.ミヤマガラス(カラス科) 2012.2.16掲載
聞き慣れぬ名前のカラスと思われる方も多いことでしょう。日本では九州や山陰地方にだけ渡ってくる地域限定の冬鳥だったからです。1980年以降徐々に越冬地を広げ始め、北海道や本州の日本海側、やがて太平洋側へ、最近では関東平野の各地にまで広がっています。
このカラスは、イギリスやユーラシア大陸の中緯度地方の樹木が散在する農耕地にすみ、樹上に集団営巣します。ハシボソガラスに姿や声が似ていますが、嘴(くちばし)はより細く、成鳥になると鼻孔を覆う羽毛が無くなるため、嘴の基部が白く見えるのが特徴です。
我孫子では、昨年、手賀沼下流域の田んぼで越冬群が観察されましたが、今年の冬もやって来ました。これから身近なカラスになる兆しでしょうか。
(写真:鳥の博物館友の会会員 川上 貢さん)