身近なとりNo.86~90
86.タマシギ(タマシギ科) 2012.8.16掲載
タマシギは湿地や水田などで1年を通して見られる鳥です。とても用心深く、夜に行動することが多いので、姿を見る機会は少ないかもしれません。運がよければ夏のくもった日や日没後の水田で「コゥ、コゥ、コゥ」というさえずりを聞くことがあります。
さえずりというとオスがメスへ鳴く声のイメージが強いですが、タマシギはメスがさえずります。
タマシギは鳥の中では少数派の一妻多夫の鳥で、抱卵や子育てはオスが担当します。カモやキジの仲間の多くはメスを引きつけるためにオスが鮮やかな羽色をしていますが、タマシギはメスの方が鮮やかです。
(写真:鳥の博物館友の会会員 安野昌彦さん)
87.オオタカ(タカ科) 2012.9.16掲載
オオタカ(学名Accipiter gentilis)は、日本では本州、北海道の広い範囲に生息しています。我孫子市の近隣でも繁殖が確認されています。我孫子でもときどき上空を飛行しているのを見かけます。最近は住宅地や都会でも見られ、都市に進出してきている鳥で、生息数が増加してきているといわれています。オオタカの食べ物はおもに鳥類ですので、都会にいるドバトがとりやすい餌になっていると考えられています。その他、カモ類などの中型の鳥類から小型の鳥類、小型のほ乳類などを捕食しています。入り組んだ林でも身をひるがえしながら飛行し、獲物を捕らえることができます。
(写真:鳥の博物館友の会会員 川上貢さん)
88.コムクドリ(ムクドリ科) 2012.10.16掲載
夏から秋にかけて、JR常磐線天王台駅にムクドリの集団ねぐらが現れるのは多くの方がご存知のはず。でも、この中に一回り小さなコムクドリが混じることを知っているのは、よほど鳥好きの方でしょう。9月半ば、ねぐら入りを前に電線上に並んだムクドリの群中に、コムクドリを見つけることができます。
コムクドリは、本州中部以北、サハリン南部、南千島で子育てする日本準繁殖固有種です。フィリピン、中国、ボルネオ島で越冬する渡り鳥で、旅の途中我孫子に立ち寄ります。春は、手賀沼遊歩道でサクラの花蜜をついばむ姿を見かけることがあります。
本種は、時期限定の我孫子の身近な鳥です。写真は、電線上のムクドリ(左)とコムクドリ(右)。
(写真:鳥の博物館友の会会員 秦伸光さん)
89.トラツグミ(ツグミ科) 2012.11.16掲載
夏山キャンプで眠れぬ夜、どこからとものなく聞き慣れない口笛のような音、ヒョ~とかヒーとか聞こえてくる。これがトラツグミの鳴き声です。鳴き声の不気味さから「ぬえ」と呼ばれ各地に不吉な伝説があります。古くは万葉集にも「ぬえどり」は、その鳴き声から悲しみを表わす言葉の枕詞として詠まれています。悲しい鳥。恐ろしい鳥として、気になる鳥の一つだったのでしょう。姿はまるで迷彩服を羽織っているような忍者のような鳥、からだを低くしてすばやく走ったりしながら昆虫やミミズを捕らえて食べます。くちばしいっぱいにミミズをくわえた姿は微笑ましいです。日本では奄美大島以北から北海道まで生息しますが、標高の高い所や積雪の多い地方のものは温暖な地方に渡ります。我孫子では秋から冬にかけて薄暗い林の中で生活します。見られたらラッキー、今は福を呼ぶ鳥かもしれません。
(写真:鳥の博物館友の会会員 岡本信夫さん)
90.ハシビロガモ(カモ科) 2012.12.16掲載
冬の手賀沼には様々なカモが飛来します。その中でもひときわ幅広な嘴が目立つのがハシビロガモです。ハシビロガモは動物性プランクトンを好んで食べるカモで、嘴には板歯というくし状の器官が発達しており、水面で嘴をぐちゃぐちゃと動かしてプランクトンをこしとって食べます。
昔、手賀沼の水質が悪かった頃はプランクトンが豊富だったため、ハシビロガモがたくさん飛来し、集団でグルグルと渦を巻くように泳ぎながら餌を食べる姿が見られていましたが、水質が改善されると、ハシビロガモは数羽程度観察されるくらいまでに少なくなりました。
(写真:鳥の博物館友の会会員 野口 隆也さん)